秋の里山 八ヶ岳  2013/10/11~13
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そのⅠ

そのⅢ



硫黄岳山荘から赤嶽頂上山荘へ

強風吹き荒れる八ヶ岳


動画は全てフルハイビジョンで見る事が出来ます。



八ヶ岳全景



今日の天気予報は晴れ

ぐっすり眠って5時過ぎに、ご来光を楽しみに目覚める。



しかし、周りはガスで真っ白。

かろうじて太陽が確認できるだけ。

そのうちに晴れるだろうと食事にする。

何しろ天気予報は晴れなんだから。

朝食も豪華。

納豆が苦手の人は手を付けずに返品する事になっている。

箸や箸袋は燃料に使うので別に回収。

エコに大変気を遣っているようだ。



しばらくガスが晴れるのを待ったが、7時にしびれを切らして出発。

しかしガスで何も見えない。

おまけに強風で小屋に引き返す。

ストーブを囲んで小屋の歴史などを聞いて天気が回復するのを待つ。



9時まで待っているとガスが引いて明るくなった。

風は強いが出発する事にする。



所が小屋を出て駒草神社から少し登るともの凄い風。

経験した事の無い強風が途切れなく西の斜面から吹き上げてくる。

じっと風に耐えて少し弱まった所で進もうとするがよろけて進めない。

岩陰に座り込んで強風にただ耐えているしか無い。

この付近は、南八ヶ岳で最も風が強い箇所と赤岳鉱泉のホームページにも書いてあったがこれほどとは。



男性が一人やってきて何度も座り込みながらそれでも何とか登って行った。

次に100㎏以上はありそうな頑強な男性がやってきて風に負けずにグングン登っていった。

ガスは晴れて大同心や赤岳がくっきりと見えている。

意を決して家内が立ち上がり歩き始める。

しかし直ぐにドオーンと風の塊が吹き上がってきて家内の体が宙に飛んだ。

(帰ってから左半身があちこち青あざになっていた。岩に頭をぶつけなくて良かった)

駆け寄ろうとした私も横倒しになり膝を岩に酷くぶつけてしまった。

また岩陰に逃げてしばらく座り込む。

ふと見ると同宿の女性4人組が直ぐ近くまで来てやはり岩陰で風を避けている。

風は益々強くなる。

堪らず山荘に這うようにして引き返す。

山荘前で様子を見ていると、男女3人組が横岳から下りてきた。

なんと女性は頭から血を流している。

風で転倒して岩で頭を打ったそうだ。

小屋で休んでいると次々と硫黄岳から登山者が降りてくる。

しかし諦めて引き返す人や今日はこの山荘泊まりに変更する人達ばかり。

横岳から下りてくる人や横岳に向かう人はいない。

山荘のスタッフに聞くと

「今日はこの風は収まりそうは無い。風速は30メートル以上と思われる。私なら今日は横岳の岩稜地帯を歩かない。」

と言う。

諦めて硫黄岳山荘に連泊して明日に期待する事にする。

しかし、予約と先ほどからの宿泊希望者で定員をオーバーしたとの事。

談話室で雑魚寝ならOKだと言う。

参ったなあと思案していると先ほどまで迷っていたご夫婦が出発した。

続いてもう一組のご夫婦もお互いをロープで結んで出発した。

外に出て見ていると、先ほど家内が吹き飛ばされたあたりまでは何度も座り込んでいるがその先は順調に登っている。

どうも硫黄岳と横岳の鞍部が風の通り道となっていて強風が吹くらしい。



風も少しは弱くなってきたようだ。

家内と相談して意を決して出発する。

10時56分

しかしやはり先ほど進めなくなった地点で家内が座り込んでしまった。

ザックを下ろしてシュリンゲを取り出したが、一寸手を緩めるとあっという間に吹き飛んでしまった。

回収不能と諦めたが少し下の岩に引っかかっている。

這うようにして取りに行く。

ザックを背負おうとしたら風でザックが飛ばされそうになり腕を通す事が出来ず背負えない。

座り込んでようやくザックに腕を通す。

以前、白馬で防寒具をザックに入れたまま凍え死んだパーティーがいて不思議だった。

強風の時はザックから防寒具を出して着る事は大変だという事が身にしみて解った。

シュリンゲを家内に結んで私は肩掛けにする。

家内に私のザックの上を掴むように言いダブルストックを短くして姿勢を低くして進む。

何度もよろけながら必死に登るが家内がしがみついているので重い事。

若い時、会社の運動会で背中に背負って50mを走った事を思い出す。

目に砂粒がいくつも入ってゴロゴロするが目をこすらないように我慢して進む。



予想通り稜線を左に曲がる所に来ると風が弱まった。

此処からは稜線の右をトラバース気味に進む。

シュレンゲを外して家内が先に行く。

風は相変わらず強いが家内でも歩けない程では無い。

鹿除けの柵が両側に続いているが草木は生えていない。

初夏になると高山植物が咲くのだろうか。

右前方に大同心がそそり立っている。



11時45分

台座の頭2,795mに着く。

私達の後から若い男性が二人登ってきたが一人は疲労困憊していた。

私達も岩に座って休憩する。

ピークなのに不思議な程風が弱い。



富士山が綺麗に見えている。

野辺山高原をはさんで大菩薩嶺や甲武信ヶ岳そして横尾山等が見える。

一休憩してから出発。

あれほど吹いていた風も全く問題なくなった。



富士山を眺めながら横岳奥の院に向かって登って行く。

鎖が現れる。



何処が蟹のヨコバイか解らないがトラバース気味に行く所がある。

見た目は厳しそうだがとても登りやすい。



家内は特にこの様な岩場を登るのが好きだ。



網の階段を上りきるとピークに出た。

此処まですれ違う人は誰も居なかったが、ピークには4人がいて硫黄岳に向かって下って行った。



12時22分 横岳奥の院到着

2,829mの標識があるがこの標高は次の無名峰の標高らしい。

此から赤岳に向けて岩稜地帯が続く。



風が吹くと危ないと言われている岩場も難なく越える。



急な階段があるがしっかりとしていて不安感は無い。



一際高く見えるのが無名峰だろうか?

ウラシマツツジの紅葉が終わりかけている。



グングン下って行く。

目の前に此から越えて行くゴジラの背のような岩稜地帯の尾根。

その向こうに坊主頭のように聳えるのは赤岳。

右に下って中岳そして阿弥陀岳が見える。

中岳の向こうには権現岳

更にその奥には南アルプスの山々が霞んで見えている。

左には野辺山高原の向こうに甲武信ヶ岳などの奥秩父の山々が聳えている。



山肌は赤い。

噴火の所為だろうか。



振り返ると奥の院(無名峰かも)が美しい。

いつの間にか三叉峰(さんしゃほう)についた。

此処から杣添尾根コースが合流する。



又ピークがある。

石尊峰(せきそんほう)かな。

同じようなピークが続くので間違っているかもしれない。



また岩稜地帯が続く

赤岳方向から何人か登山者がやって来る。

何時もなら大混雑する場所だが今日は殆ど登山者に出会わない。

朝追い越して行った頑強な男性がもう赤岳に登って引き返して来た。

100㎏オーバーでも今日の風はキツイと言って去って行った。



振り返ると杣添尾根コースを登る登山者が見える。

ゲッこんな岩を登るのかな?

ここが鉾岳(ほこたけ)、なのか?

岩の横にトラバース道があった。



通ってきた横岳を振り返る。

あんな所を通ってきたのかなあ。

前方左には県界尾根の向こうに富士山が見える。



横岳の最後のピークに広場がある。

日ノ岳かな。

休憩しようと思うが風が強いのでそのまま進む。

風を避けて食事をしているカップルがいる。



急な岩場を降りていく。

赤岳はまだまだ遠い。



オヤマノエンドウがまだ咲いている。

紅葉しているのはチョウノスケの葉かな?



眼下に行者小屋が見える。

すれ違う登山者が増えてくる。



岩稜地帯の下りが続く





下ったと思ったら又登り

家内は膝が曲がらないので岩を登る時岩に膝をついて登っているので大変だ。



風が強いので注意して登る。



とにかく岩が続く



変化に富んでいてとても楽しい。



目の前に赤岳が聳えている。

ガレ場を下って行く。



風化して崩れやすいので慎重に下っていく。



目の前の赤岳、中岳そして阿弥陀岳が大きくなる。

赤岳展望荘が見えてきた。



面白い岩が多い。



此処が二十三夜峰なのか。

鎖場を下って行く。



少し登り返すと地蔵尾根の頭に着く。

14時6分

硫黄岳山荘から三時間かかった。



今から地蔵尾根を下って行くご夫婦がいる。

行者小屋泊まりですかと聞くと、このまま下山すると言う。

暗くならないうちに着ければ良いのだけれど。

横岳を振り返る。



赤岳展望荘に向かって登る。

14時12分着



強風の為が風力発電用の風車は止まっている。

山荘で聞くと今日は定員オーバーで談話室の雑魚寝ならOKだと言う。

硫黄岳山荘とこの赤岳展望荘はいくら混んでいても布団一枚に一人が売り物。

それ以上だと談話室などに寝る事になる。

まだ時間が早いので頂上山荘に行く事にする。



椅子に丁度良い岩が並んでいる所で遅い昼食。

硫黄山荘の弁当はおかずが多くて美味しい。

食後境界尾根の分岐を越えて登って行く。

目の前に赤岳が聳えている。

急斜面には鎖が設置されている。



山頂から展望荘に向けて降りていく登山者が多い。

展望荘は、コーヒー飲み放題で五右衛門風呂があるなど人気が高い。



やがて一枚岩の登りにさしかかり、岩壁を登って行く。

鎖があるが地に這っていて掴みにくくて重い。

岩角を掴みながら登る方が登りやすい。



途中で振り返り眺望を楽しんで休憩。



岩壁を登り切ると肩に出て頂上は更に上にある。



もう少しと頑張って登る。



15時7分 赤岳頂上山荘に着く。



受付で聞くと宿泊OKだと言う。

とりあえずザックを置いて頂上に向かう。



甲府盆地の向こうに富士山が見えている。



狭い山頂は大混雑

頂上山荘を振り返る。



此処からは行者小屋や阿弥陀岳そして権現岳などに行く事が出来る。

赤岳南峰の頂上標高2899m

小さな祠があり、赤獄神社が祀られている。

三角点はこの神社の下にあったのだが写し忘れた。



頂上標識で記念撮影。

狭い山頂は大混雑。

山ガールもにっこり記念撮影。

今日は平日なのにこの混みようでは休日は大変だろう。



しばらく写真撮影しながら過ごす。



正面には権現岳

右には阿弥陀岳



北峰に帰り方位盤を見る

画像をクリックすると大きくなります。



雲が重いが横岳が夕日に輝いている。



赤岳の三角錐の影が美しい。



私達は6時に食事。



食事はボリュームが多くご飯と味噌汁は食べ放題

部屋は二段で、もしかすると一つの布団に二人になるかもと言われたが結局一人布団一枚で寝る事が出来た。

消灯は8時半と遅いので食堂で地酒を飲みながら皆さんと雑談して過ごす。

小屋の定員は200人だが布団は120枚。

小屋の支配人が今日は118人で2枚布団が余ったと言っていた。

120人以上だと一人布団一枚あたらないようだ。

但しこの小屋の布団は幅が広いので布団二枚に三人でもそうきつくないように思える。



食堂の窓からは正面に富士山と甲府の街の夜景が素晴らしい。

強風で踏ん張ったので膝が少し痛む。

家内は打ち付けた体中が痛いという。

二人で消炎剤入りの痛み止めを飲み熟睡する。










歩行距離 3.6㎞

単純標高差 254m

累計標高差はGPSの記録では4,252mと驚くべき大きな数値となっている。



カシミールでGPSの軌跡を見ると硫黄山荘から台座の頭へ登る途中まで、もの凄く揺れ動いている事が解る。

強風で体が上下に揺れ動いて累計標高差がもの凄い数値となったようだ。

硫黄山荘から赤岳頂上まで3.6㎞歩くのに四時間も掛かっている。

しかも総歩行数 14,101歩

普通なら5,000~7,000歩だろう。

小刻みに歩いたのだろうか。


今日、ヤマケイで当日のレポートを読むと多くの人が横岳~硫黄岳の縦走を断念していた。

そのⅠ

そのⅢ




里山倶楽部四国編 

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